こんにちは。
吹チャン!のアナリスト kazuです
(おことわり:いつもの吹チャン!のトーンと少し違います)
本日8月15日は、日本における第2次世界大戦(1941-1945)の終結が国民に知らされた日、つまり『終戦記念日』です。
「戦争で亡くなられた方を追悼し、平和を祈り願う日」とされています。
最近また、世界を二分しかねない戦争が続いていて、平和の大切さを忘れてはならないと感じる人も多いと思います。
物事を忘れないための一番の方法は「身近なもの、具体的なものと結び付けて覚えておく」ですが、
それは平和についても同じで「自分のおばあちゃんから聞いた戦争の頃の話」がたぶん一番記憶に残るのです。
しかし、戦後77年が経ち、だんだんと戦争の実体験を語れる人も減りゆく今、例えば自分の毎日暮らしている街で戦争中に何が起こったか、という「街の記憶」もその代わりになるのではないかと思い、
この記事では、吹田市内の戦争の記憶について史料などをもとに3つのテーマをご紹介します。
先月下旬、南吹田で不発弾撤去があったことで「吹田にも空襲があったのか!」と初めて知った方もいらっしゃるかもしれません。
先月処理された不発弾は、1945年6月15日の朝の空襲により落とされたものと
思われますが、これも含めて吹田への空襲は1945年の3月から8月にかけて計10回記録されています。
吹田の皆さんなら聞き覚えがある地名が並んでいますが、計34名の方が亡くなられています。
*3の「吹田2~4丁目」は「南吹田2~4丁目」の誤りと思われます。
>>より詳しくはこちら(総務省「吹田市における戦災の状況」)
吹田市が空襲を受けた理由は主に2つあり
・鉄道施設(吹田操車場)
・軍需工場(神崎川沿い)
を狙っての空襲とのことです。それぞれ前者は現在のJRの吹田貨物ターミナル
(吹田駅~岸辺駅の間)ですし、後者は今も工場の多いエリア、と今も名残がありますね。
高浜神社前道路(2022年8月)
先日の吹田だんじり祭りのスタート地点の高浜神社(吹田市高浜町)の前や内本町を抜ける道路は、ふだんの交通量の割には広く感じられます。
これは「疎開道路」と呼ばれるものです。
「疎開」と言うと、戦争中、都市などに住む子どもを戦災から避けるために地方に避難させる「学童疎開」が思い浮かびますが、
これとは別に、建物が密集した地域で空襲などで火災が広がるのを防ぐために、
行政の指示でほぼ強制的に、あらかじめ建物を壊してスペースを空ける「建物疎開」というものがありました。
その結果出来たスペースで広くなった道路が「疎開道路」と呼ばれますが、その名残が今も吹田市内にも見られます。
EvergreenPlanet / Shutterstock.com
Jリーグ ガンバ大阪のホームスタジアムとしておなじみのパナソニックスタジアム吹田。このあたり一帯はもともと山林でしたが、1970年大阪万博の会場として開発され、スタジアムの場所は来場者向けの駐車場でした。
、、と思われていたのですが、スタジアムを建設する際の調査で敷地の地下に何本ものトンネル(総延長約1000m)がある事が分かりました。
「吹田の戦争遺跡をめぐる」より引用 赤線がトンネル位置
これは戦時中、大阪市内にあった旧海軍の弾薬庫が敵に狙われる事を想定して弾薬庫ごと「疎開」させるというプロジェクトとして作られたもので、見つからないように地下、掘削と出し入れの都合でトンネルの形状となったようです。
大阪市内から遠くなく、吹田操車場から鉄道で全国に弾薬を運搬できる、人目に付かない山間地ということでこの地が選ばれたと推察されます。
終戦後、占領軍に引き渡された弾薬庫の中身の一部はその場で爆破処理されましたが、その大音響を耳にして山のふもとの住民は、山中に大変な施設があったことを初めて知ったとのことです(もちろん、戦時中から厳重な警備が敷かれ、何か重要な施設があるようだ、、とは知られていたようですが)。
その後、1970年大阪万博の工事であたり一帯は整備され、弾薬庫の記憶もなくなって年月が経ち
そして、大きなスタジアムの建設工事によって数十年ぶりにスポットがあたった、というわけです(工事に伴いトンネルは埋められたとのことです)。
現在の私たちがサッカー観戦を楽しむ場所と、その昔、戦争のために秘密裏に作られた場所が重なっているのは「平和だからこそ、われわれは心おきなく娯楽を楽しむことができる」というメッセージかもしれません。
「建物疎開」と「旧日本海軍の弾薬庫」の話は、吹田市制80周年の市民提案事業として発行された「吹田の戦争遺跡をめぐる」(塚崎 昌之/著)という小冊子からテーマをお借りしました。
吹田市立図書館の各館にも所蔵されていますので、興味ある方はぜひ読んでみてください。
JR吹田駅前の「平和の塔」
いかがでしたでしょうか。
戦争に「良い戦争」「悪い戦争」はなく、いずれにしても誰かの尊い命が失われる事には変わりありません。
この記事が、さまざま対立がたとえあったとしても、戦争に至らないために何が出来るかについて考えるきっかけになればうれしいです。
<「ちょい足し」吹チャン!>
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